2021 SS


MUVEIL MAGAZINE
vol.24
2021 SPRING SUMMER COLLECTION
RETRO SAFARI LOOK

長い冬が明け春の光を待ちわびる今、MUVEIL 2021 SPRING SUMMER COLLECTIONが届きました。 2021 SPRING SUMMER COLLECTIONのインスピレーション源の舞台は、1960年代後半から1970年代。MUVEIL MAGAZINE vol.24では時代にスポットを当てながらコレクションに込めた想いを綴ります。


SAFARI LOOK
サファリルックがファッション界の表舞台に初めて登場したのは、1968年。若くして自身のオートクチュールメゾンを設立したイヴ・サン・ローランが春夏のウィメンズコレクションとして提案しました。
当時のファッション界はまだ伝統を重んじる保守的な部分が強い中、イヴ・サンローランは数々の改革をもたらし「モードの帝王」の地位を獲得します。その中の一つがサファリルック。アルジェリア生まれであるイヴ・サンローラン氏はメゾンを立ち上げた後、モロッコに別荘を構えました。
長い間フランスの植民地だった歴史をもつ北アフリカは、19世紀から芸術家にとって発想の泉でもありました。アンリ・マチスやパブロ・ピカソがアフリカに影響を受けたように、彼はその地で上流階級の男性用狩猟着として着用されていたサファリジャケットを見つけます。
弾丸を入れるポケットなどはそのままにしながらもボタンホールに紐を配し、ファッションアイテムとして昇華させました。




HIPPIE
「オートクチュールの”象牙の塔”に閉じこもる気はない。」と語った彼は日々の暮らしへの提案としてプレタポルテを立ち上げました。
サファリジャケットのように、美しい一着としてだけでなく当時の社会と戦うパワーを兼ね備えたファッションスタイルをいくつも見出します。同じように世界を変えようと戦う若者を支持していた彼が提案したスタイルの中でヒッピーをキーワードとしたコレクションもありました。
男性優位など当時の既成された社会的概念や人種問題・戦争に疑問を呈し、自由で平等な社会を理想としたヒッピーはファッションにもそのメッセージを表現します。産業革命から歩んできた環境破壊に反対し自然を大切にするスタイルをファッションに取り入れていったのもこの時代の特徴です。




FOLKLORE
フォークロアとは民間伝承という意味ですが、南米やインドなどに根差した風俗や習慣に世界の理想的な姿を見出したヒッピーたちは、その土地の柄や伝統的モチーフをファッションアイテムに取り入れていきます。 ファッションだけでなく、生活様式、音楽、アートとあらゆる分野でメッセージを掲げた当時の若者の姿は今でもそのパワフルさに圧倒されます。




よりよい世界になるため、わたしたちが取り組むべき問題は多く残っております。
もう一度あの時代のスタイルを取り入れ、理想的な世界へ一歩近づくパワーを与えられればとの想いから今回のコレクションに込められています。
衣服の力を信じて、ポジティブなマインドが宿るピースフルな大人のスタイルを楽しんでいただけたら幸いです。

今月号はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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