ART


MUVEIL MAGAZINE
vol.16
AUTUMN EDITION 3

AUTUMN EDITIONとして配信している今月のMUVEIL MAGAZINE。食欲・読書とつづいて最後となる第3弾は芸術の秋をテーマにしました。

秋も深まり紅葉が広がる景色は、自然とファッションにも色味を取り入れたくなります。今回は 2020 AUTUMN WINTER COLLECTION カラーをピックアップし、色の効果とその色を愛した画家を調べてみました。



GREEN
2020 AUTUMN WINTER COLLECTIONは、ある惑星に暮らす森の仲間たちを思い描いたコレクションであることからメインカラーとなっているグリーン。
中間色であり、木々や自然を連想させる色であることから植物と同様に癒しの効果があるとのこと。相手の緊張を解し安心感を与えられることから、物事を平和に進行させたいときに取り入れるとよいそうです。何かお断りをしなくてはいけないシチュエーションに活用できそうですね。



緑豊かなジャングルの作品を多く描いたフランスのアンリ・ルソー。
彼は、税関職員として働きながら余暇で絵を描いてました。当時は美術知識がない「素朴派」と批評家に嘲笑されておりましたが、当時からピカソからも注目されていた人物です。平面的な人物と単純な構図を用いながら圧倒的な存在感を放つ彼の作品は、宗教画を見ているようなどこか厳格な雰囲気。
特に彼の描く植物は異国情緒溢れる夢想的な世界へ誘ってくれます。ルソーはパリの植物園に足繁く通ってその記憶を頼りに絵を描いていたそう。日本では、世田谷美術館にも収蔵されております。是非行かれてみてください。



YELLOW
光の色を表す場合にも多く使われる黄色は、元気で楽しい印象を持たせる場合に効果的な色です。表情も明るく豊かにみせてくれるので、はじめてお会いする方とのシチュエーションや社交の場で取り入れると距離がぐっと近づくかもしれません。



黄色といえば、「ひまわり」を描いたヴァン・ゴッホが好んだ色です。「黄視症」であったことが原因との指摘もありますが、彼は弟・テオに送った手紙でも黄色のすばらしさについて次のように言及しています。
「この太陽、この光、どう言ったらいいのか良い言葉が見つからないから、ただ黄色、薄い硫黄の黄色、薄い金色のレモンという他はない。この黄色が実に素晴らしい。ああテオ、君がいつの日か南フランスの太陽を見て僕と同じように感じてくれたらいいと思う。」
太陽のように大きなエネルギーを感じる彼の作品を見ると、黄色がもたらす作用の強さが伝わりますね。「ひまわり」は東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で鑑賞できます。



PURPLE
紫は、色素として抽出するのも難しかったお色。労力と財力が必要とされたことから、高貴な印象を与えます。神秘的なイメージも兼ね備えた紫は、普段の自分と違った一面を見せたいときに取り入れたいカラーです。



紫が印象的な画家の一人としてクロード・モネが挙げられます。有名な「睡蓮」や「ルーアン大聖堂」など濃淡さまざまな紫が使用されているように見えますが、実は目の錯覚によるもの。実際目に見える光や自然の印象を忠実に再現しようとしたモネは、絵具を混ぜると色が濁り明度が低くなってしまうことから原色をそのまま点描でキャンパスにのせて明るい世界を表現しました。補色同士が同時に目に入ることでニュアンスのあるパープルが生み出されます。モネの作品は日本の美術館も多く所蔵されていますので、旅行先で探してみるのも良いかもしれません。

今回のMAGAZINEでは色にフォーカスして特集しました。今回ご紹介したゴッホは「色彩は、それ自体が何かを表現している。」という名言を残しています。気分や気持ちを整えるにあたって、色の作用を活用してみるのもいいかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

2020.10