Q-TA



MUVEIL MAGAZINE
vol.8
2020 PREFALL
INTERVIEW WITH Q-TA

今月のMUVEIL MAGAZINEは2号に渡って2020 PREFALL COLLECTIONを特集します。



今回はアートディレクター・コラージュアーティストとして活躍するQ-TAさんにインタビューさせていただきました。ファッションブランドとのコラボレーションや、CDジャケットや書籍の装丁など多方面で活躍しながら、InstagramではGUCCIのアートプロジェクト「#GucciGram」にも参加し国内外で注目を集めるQ-TAさん。緻密に組み合わせられた彼のコラージュ作品は、瞬時に驚きに満ちた夢境な空間へと誘ってくれます。


(Q-TAさん提供 左:東野圭吾/著「沈黙のパレード」文藝春秋 : 装画デザイン 右:ジョージ・ソーンダーズ/著 岸本佐知子/翻訳「十二月の十日」河出書房新社 : 装画デザイン)


MUVEIL 2020 PREFALL COLLECTIONでは、コレクションの立ち上げに合わせて、Q-TAさんとのコラボレーションTシャツを発売いたします。


コレクションのテーマとなった映画『花様年華』の舞台である60年代の香港を想起させるようなヴィンテージ感のあるコラージュ作品を創作してくださいました。中央の猫を見るとお鼻がダイヤモンドだったりと遊び心に富んだ仕掛けが隠されています。
TシャツとともにGALLERY MUVEILにてQ-TAさんの個展を開く予定でしたが、閉店により残念ながら実現できなくなってしまいました。インタビューでは、コラボレーションTシャツのことから作品を制作する際のインスピレーション源などお答えいただきました。



MUVEILは、子どもの頃を思い出すようなお洋服をお届けすることをコンセプトの一つとしています。 子供のころに思い出に残っている服やそれにまつわるエピソードをお聞かせください。


子どもの頃はサスペンダーが非常に好きでけっこうな数持っていましたね。なぜサスペンダーかというと、ジャッキーチェンの映画「プロジェクトA」でジャッキーがサスペンダー姿で出てるんです。それに憧れて(笑)でもこれが自分でファッションを意識した最初のきっかけになり、それからずっとメインの洋服よりも、帽子、メガネ、靴、鞄などの小物に目がいってしまいがちです。無理矢理かもしれませんが、コラージュでいう素材の組み合わせを楽しみ感覚に近いのかもしれませんね。



今回PREFALL COLLECTIONに合わせてTシャツのデザインをしていただきました。どんなイメージで作られたなど伺えれば幸いです。


(Q-TAさん提供 MUVEIL 2020 PREFALL COLLECTION Q-TA コラボTシャツ デザイン原画)


実はこのタイミングで個展を開催する予定でした。残念ながらコロナの影響で中止になりましたが…。コレクションの題材でもある「花様年華」から、その個展ではギャラリー内に香港の路地裏に並ぶ屋台村をイメージした赤い空間を作ろうとしてたんです。その屋台のスタッフたちがお揃いのTシャツを着ていたら可愛いなと思いデザインしました。



幼少期から映画がお好きだと伺いました。MUVEILはコレクションのテーマを映画の題材にすることがあるのですが、作品制作時に映画をコンセプトやインスピレーションとすることはございますか?


70〜80年代の映画が好きで、特にこの時代に制作されたSFX映画からは非常にインスピレーションをもらっています。今のリアルなCGにはない、手作り感ある特撮が描く世界観は今見ても胸躍ります。背景が絵でもいいんです!ぬいぐるみでもいいんです!ピアノ線が見えてもいいんです!その物語に入ってしまえば映るもの全てリアルなんです!僕が作品を作る時も、見てくれる人たちのイマジネーションをどう掻き立てるかを意識します。




.今回のコレクションでは映画「花様年華」を題材としておりますが、御覧になりましたか?


「花様年華」はすごく好きな映画のひとつです。元々、チャン夫人役のマギー・チャンが好きな女優さんでして、まぁこれも映画「ポリスストーリー」をはじめ多くのジャッキー映画に出ていたのがきっかけなんですけど(笑)「花様年華」はとにかく長回しのシークエンスが美しく、間の使い方で登場人物の感情を見事に表現した作品だと思います。一時期は撮影のクリストファー・ドイルが関わった作品を見漁ってました。



MUVEILデザイナー・中山からの質問もさせてください。映画「花様年華」では中国とイギリスの文化の融合が印象的でした。Q-TAさんの作品もコラージュという手法で多様な文化をミックスさせる側面があるかと思うのですが、ご自身共通項が感じますか?


映画の中での香港や、日本だと大正時代みたいな西洋文化を取り入れたモダニズムを見ていて楽しいですし、非常にコラージュ的だと感じます。異なる2つの組み合わせによる違和感と絶妙なバランスで成り立つ美意識というものは常に心がけている感覚です。


(Q-TAさん提供 fuishoo「One Day In The City」PROGRESSIVE FORM : ジャケットデザイン)


インスタグラムでもコンスタントにコラージュ作品をアップされており、更新を楽しみにしております。コラージュを作る際どんどんとアイデアが生まれてそれをもとに図形化していくのでしょうか?それとも即興的な要素が強いのでしょうか?作品の制作過程を伺えたら幸いです。


最初に頭の中にあるのは、漠然とした質感だけです。そこから一手一手、即興性の中で組み立てていくことが多いです。例えると、何もない地球に海だけ作って、そこから自然発生する生物たちの中から適当に選び、掛け合わせをして新しい生物を創造していくの繰り返しです。その延長で海だけじゃなくて、この生物を陸地に上げたら面白いんじゃないか?この生物が空を飛んだら素敵なんじゃないか?みたいに箱庭で遊んでる感じが近いです。でもそうやって世界を作って行くとちゃんと進化の過程みたいな文脈が作品に出来ていくんです。



今後の活動やこれから構想されているプロジェクトなど何かございますか?


今年に入って少しだけ世の中の仕組みが変わってしまったので戸惑いもありますが、空間を作ってみたいです。僕の文脈が見れるような箱庭を。


ありがとうございました!
現在もInstagramで定期的に作品を投稿されているQ-TAさん。彼の作品を見るとき、新感覚な違和感を覚えてから注意深く見てみると仕立てのいいスーツを着たおじさまの傘がキノコだったり髪の毛だと思ったら電話だったり、いつも好奇心をくすぐる仕掛け用意してくださいます。 是非チェックしてみてください。




Q-TA
https://www.q-ta.com/
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シュルレアリスムを独自の解釈で表現するファッション性の高いポップなコラージュ&ビジュアル作品で、GUCCIのアートプロジェクト「#GucciGram」や、ディズニー映画「Alice Through the Looking Glass」のInstagramキャンペーンへの作品提供をはじめ、アパレルブランドとのビジュアルコラボレーションやCM、CD、雑誌、装丁、装飾デザインなど国内外で活躍する。

2020.7